永久粘着呪文
永久粘着呪文 (Permanent Sticking Charm) は、貼りつけたものをその場から取り外せなくする呪文です。作中で語られるのはいずれも、ブラック家の屋敷であるグリモールド・プレイス十二番地での話です。
呪文: 明示なし
分類: 呪文(charm)
効果: 貼りつけたものを、その場から取り外せなくする
初出: 『不死鳥の騎士団』第5章
効果
呪文をかけられたものは、貼りつけられた場所から離れなくなります。シリウス・ブラックは、玄関ホールの母親の肖像画と客間の家系図のタペストリーについて、母がそれぞれの裏にこの呪文をかけたものと見ていました[1][2]。
かけた者が亡くなったあとも効果は残ります。シリウスの母親は1995年の十年前に亡くなっていますが[1:1]、肖像画もタペストリーも1997年まで壁に留まったままで[3]、作中で取り外しに成功した例はありません。
母親の肖像画
1995年夏、不死鳥の騎士団の本部となった屋敷を初めて訪れたハリーは、玄関ホールで叫び声を上げるシリウスの母親の肖像画を目にします。シリウスは、一ヵ月にわたって取り外そうとしても外せずにいると説明しました[1:2]。
「わが親愛なる母上にだよ」シリウスが言った。「かれこれ一ヵ月もこれを取りはずそうとしているんだが、この女は、カンバスの裏に『永久粘着呪文』をかけたらしい。さあ、下に行こう。急いで。ここの連中がまた目を覚まさないうちに」
家系図のタペストリー
客間の掃除の最中、屋敷しもべ妖精のクリーチャーが、七世紀にわたって家に伝わる家系図のタペストリーを捨てられまいと守ろうとしていることが分かります。シリウスは、母がその裏にも永久粘着呪文をかけているだろうと述べました[2:1]。
「そうじゃないかと思っていた」シリウスは蔑むような目つきで反対側の壁を見た。「あの女は、あの裏にも『永久粘着呪文』をかけているだろう。間違いなく、そうだ。しかし、もし取りはずせるなら、わたしは必ずそうする。クリーチャー、さあ、立ち去れ」
監督生バッジ
同じ夏、ホグワーツへ戻る荷造りの最中、ロンは届いたばかりの監督生バッジの置き場所を決めかねていました。ベッド脇のテーブルに置き、ジーンズのポケットに入れ、また取り出してローブの上に置いているところへ、フレッドとジョージがやって来て、額に貼りつけてやろうかと申し出ました[4]。
フレッドとジョージがやって来て、「永久粘着術」でバッジをロンの額に貼りつけてやろうかと申し出たとき、ロンはやっと、バッジを栗色のソックスにそっと包んでトランクに入れ、鍵を掛けた。
永久粘着術: 原作日本語版では「永久粘着呪文」と訳されていますが、この双子の申し出だけは「永久粘着術」となっています[4:1]。英語版はいずれも Permanent Sticking Charm で、表記の違いはありません。
シリウスの部屋
1997年、逃亡中のハリー・ロン・ハーマイオニーの三人は屋敷に身を隠し、ハリーは十代のシリウスが使っていた部屋に入ります。銀鼠色の絹の壁紙はほとんど見えないほどポスターと写真で埋まっており、色褪せたグリフィンドールのペナント、マグルのオートバイの写真、ビキニ姿のマグルの女性のポスター、そしてホグワーツの学生4人が肩を組む写真が貼られていました[5]。
これらを壁に留めていたのが永久粘着呪文です。両親が長男の装飾の趣味を認めたはずはなく、外せなかったからこそ残っているのだろう、とハリーは考えました[5:1]。
おそらくシリウスの両親は、壁に貼りつけるのに使われた「永久粘着呪文」を解くことができなかったのだろう。そうとしか考えられない。なぜなら、両親は、長男の装飾の趣味が気に入らなかったに違いないと思えるからだ。
粘着呪文
『吟遊詩人ビードルの物語』には、「永久」の付かない「粘着呪文」への言及があります。ダンブルドアの注釈に引かれたベアトリックス・ブロクサムの日記で、夜な夜な眠ったまま歩き出す娘のために、父親が寝る時間になると部屋のドアにこの呪文をかけるようになったと語られています[6]。両者が同じ呪文かどうかは書かれていません。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第5章「不死鳥の騎士団」
- 第6章「高貴なる由緒正しきブラック家」
- 第9章「ウィーズリーおばさんの嘆き」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第9章「隠れ家」
- 第10章「クリーチャー語る」
- 『吟遊詩人ビードルの物語』(ダンブルドアによる注釈。「粘着呪文」への言及)