リリー・ポッター(1960年‐1981年)
リリー・ポッター (Lily Potter) は、マグル生まれの魔女で、ハリー・ポッターの母です。イギリス中部の町コークワースで育ち、幼なじみのセブルス・スネイプから自分が魔女であることを教えられました[1][2]。ホグワーツではグリフィンドール寮に入り、魔法薬学に秀でた生徒として知られています[1:1][3]。ジェームズ・ポッターと結婚して息子ハリーをもうけ、1981年10月31日、その息子をかばってヴォルデモートに殺されました[4]。このとき彼女が身を投げ出したことが、息子を死の呪いから守る古い魔法となります[5]。
- ペチュニア・ダーズリー(姉)[12]
- ジェームズ・ポッター(夫)[13]
- ハリー・ポッター(息子)[14]
- フリーモント・ポッター(義父)[7:1]
- ユーフィミア・ポッター(義母)[7:2]
来歴
生い立ち
イギリス中部の工業都市コークワースで、姉ペチュニアとともに育ちました[2:1]。両親はマグルで、姉妹のうち魔女だったのはリリーだけです。ペチュニアは、両親が自分よりも妹を大切にしていると感じて、そのことに長く苦しんでいました[12:1]。
魔女としての力が現れたのもこの町でした[2:2]。近所の公園で花を手のひらに載せ、花びらを自在に開いたり閉じたりしてみせたところ、それを茂みの陰から見ていた同い年の少年セブルス・スネイプが飛び出してきます[1:4]。
「きみは……きみは魔女だ」スネイプが囁いた。
スネイプはリリーに魔法界とホグワーツのことを教え、二人は親しくなりました。姉ペチュニアとの間に溝ができ始めたのもこのころです[1:5]。
ホグワーツ時代
組分けと寮
1971年、キングズ・クロス駅の9と4分の3番線からホグワーツ特急に乗り込みました。車内ではスネイプと同じコンパートメントに座り、そこに居合わせたジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックに初めて顔を合わせています[1:6]。
組分け式では、帽子が深みのある赤い髪に触れた瞬間、一秒とかからずに「グリフィンドール!」と叫びました。続く組分けでスネイプはスリザリンに入り、二人は寮を違えます[1:7]。
在学中の素行について、作者は次のように述べています。ペチュニアがのちに「蛙の卵をポケットに入れて帰ってきた」「ティーカップをネズミに変えた」と叫ぶ場面をふまえた回答です[15]。
Aunt Petunia is exaggerating a little; you have to allow for her state of mind when she started shrieking these things. However, just like her son, Lily was not averse to testing the limits of the Statute of Secrecy, so you can safely assume she will have had a few warning letters – nothing too serious, though.
(ペチュニアおばさんは少し誇張しています。あんなことを金切り声で言い出したときの心境を考えてやらねばなりません。とはいえ、息子と同じくリリーも秘密保持法の限界を試すことを厭わない性質でしたから、警告状を何通か受け取っていたと考えて差し支えありません。深刻なものではありませんが)
魔法薬学の才能
魔法薬学のホラス・スラグホーン教授は、のちにハリーと初めて会ったとき、その母親を自分のお気に入りだったと語っています[3:2]。
「リリー・エバンズ。教え子の中でも、頭抜けた一人だった。そう、生き生きとしていた。魅力的な子だった。わたしの寮に来るべきだったと、彼女によくそう言ったものだが、いつも悪戯っぽく言い返されたものだった」
スラグホーンは、教師人生を通してのお気に入りの生徒の一人だったとも記録されています[16]。ミネルバ・マクゴナガルにとっても、リリーとジェームズはお気に入りの生徒でした[17]。
ハリーが魔法薬学で頭角を現したとき、スラグホーンはその才能を母親に重ねています。「明らかに母親の才能を受け継いでいる」[9:1]、「母親もそうだった。魔法薬作りを直感的に把握する生徒だった」[18]という評がそれです。
スネイプとの決別
5年生のO・W・L試験が終わった日、湖畔でジェームズとシリウスがスネイプをいじめている場に居合わせ、割って入りました[19]。
「冗談のつもりでしょうけど」リリーが冷たく言った。「でも、ポッター、あなたはただの傲慢で弱い者いじめの、いやなやつだわ。彼にかまわないで」
ところが、助けに入られたスネイプ自身が彼女を罵ります[19:1]。
「あんな汚らしい『穢れた血』の助けなんか、必要ない!」
リリーは目を瞬いてから、冷静に「これからは邪魔しないわ」と応じ、その場を去りました[19:2]。
その夜、グリフィンドール塔の前で待ち伏せて謝るスネイプを、リリーは受け入れませんでした。彼女が挙げた理由は、罵り言葉そのものよりも、スネイプが付き合っている相手のほうでした。マルシベールとエイブリーがメリー・マクドナルドにしたことを引き合いに出し、二人の「笑い」は邪悪だと言っています[1:8]。
「わたしにはもう、自分に嘘はつけないわ。あなたはあなたの道を選んだし、わたしはわたしの道を選んだのよ」
ジェームズ・ポッターとの交際
ジェームズはリリーを繰り返しデートに誘い、そのたびに断られていました[19:3]。二人が交際を始めたのは7年生のときで、その経緯をリーマス・ルーピンとシリウスがのちにハリーに語っています[20]。
「七年生のときにジェームズとデートしはじめたよ」ルーピンが言った。
シリウスは「ジェームズの高慢ちきが少し治ってからだ」と付け加えています[20:1]。
1971年に入学しているので、卒業は1978年ということになります。
首席
在学中、ジェームズとそろってホグワーツの首席を務めました。それをハリーに伝えたのはハグリッドです[11:1]。
おまえの父さん、母さんはな、おれの知っとる中で一番すぐれた魔法使いと魔女だったよ。在学中は、二人ともホグワーツの首席だった!
第一次魔法戦争
結婚と姉との断絶
卒業後、リリーはジェームズ・ポッターと結婚しました。式ではシリウス・ブラックが新郎の付添役を務め、二人はのちに彼をハリーの名付け親にしています[13:1]。ジェームズの両親フリーモントとユーフィミアは、息子の結婚には間に合いましたが、孫のハリーに会うことはできませんでした[7:3]。
姉との関係は、この時期に決定的に壊れます。リリーがまだホグワーツの最終学年だったころ、ペチュニアは婚約者のバーノン・ダーズリーをリリーとジェームズに引き合わせました。その席でジェームズがバーノンをからかい、食事は物別れに終わります[12:2]。
結局、ペチュニアとバーノンがレストランを飛び出して、夕食はおしまいになりました。ワッと泣き出すリリーに、ジェームズは(少し自分を恥じながら)近いうちにバーノンと仲直りすると約束したのでした。
その機会は訪れませんでした。ペチュニアは、妹に目立たれることに嫌気がさして介添え人を頼むことを拒み、リリーは傷つきます。ダーズリー夫妻はリリーとジェームズの結婚式にも出席しませんでした[12:3]。ペチュニアがリリーから受け取った最後の便りはハリーの誕生を知らせるもので、彼女はそれを一瞥してゴミ箱に捨てています[12:4]。
不死鳥の騎士団
リリーとジェームズはヴォルデモートに対抗する不死鳥の騎士団に加わりました。マッド‐アイ・ムーディが持っていた創立メンバーの集合写真に、二人は並んで写っています[10:1]。
ハリーは心臓がひっくり返った。父親と母親がハリーににっこり笑いかけていた。二人の真ん中に、しょぼくれた目をした小男が座っている。ワームテールだとすぐにわかった。ハリーの両親を裏切ってヴォルデモートにその居所を教え、両親の死をもたらす手引きをした男だ。
二人はヴォルデモートに三度立ち向かい、そのつど生き延びました。同じ条件を満たしていたのがフランクとアリスのロングボトム夫妻で、この一致がのちに予言の解釈を左右することになります[21]。
ゴドリックの谷での潜伏
1980年7月31日、息子ハリーが生まれました[11:2]。ヴォルデモートは、シビル・トレローニーの予言を根拠にこの子の命を狙います。予言を盗み聞きしてヴォルデモートに伝えたのはスネイプでした[22]。スネイプは、予言が指しているのがリリーの息子だと知って動転し、アルバス・ダンブルドアに彼女の命だけでも助けてくれと懇願しています[1:9]。
一家はダンブルドアの助言で忠実の呪文を用いてゴドリックの谷に身を隠しました。秘密の守人は当初シリウスの予定でしたが、シリウス自身の提案でピーター・ペティグリューに変更されます[23]。
潜伏中もリリーはシリウスに手紙を書いていました。のちにグリモールド・プレイスでハリーが見つけるその手紙には、1歳の誕生日を迎えた息子の様子が書かれています[24]。
ハリーの誕生祝いをほんとに、ほんとにありがとう! もうハリーのいちばんのお気に入りになったのよ。一歳なのに、もうおもちゃの箒に乗って飛び回っていて、自分でもとても得意そうなの。
そのペティグリューが裏切り、隠れ家の場所をヴォルデモートに教えました[23:1]。
死(1981年10月31日)
1981年10月31日の夜、ヴォルデモートがゴドリックの谷の隠れ家に押し入りました。玄関ホールに走り出たジェームズは杖を持っておらず、その場で殺されます[4:2]。
「リリー、ハリーを連れて逃げろ! あいつだ! 行くんだ! 早く! 僕が食い止める――」
2階の子ども部屋に追い詰められたリリーは、ハリーをベビーベッドに置き、両手を広げて立ち塞がりました。ヴォルデモートは彼女に「どけ」と繰り返します[4:3]。
「ハリーだけは、どうかお願い。わたしを、わたしを代わりに殺して――」
彼女は最後まで身代わりを申し出て動かず、そこで殺されました[4:4]。夫と並んでゴドリックの谷の墓地に葬られ、墓石には1960年1月30日生まれ、1981年10月31日没と刻まれています[6:2]。焼け落ちた家の跡地には、この地で二人が命を落としたことと、息子が死の呪いを生き延びた唯一の魔法使いであることを記した標識が立てられました[4:5]。
死後
ハリーに残した守り
リリーが息子のために死んだことは、ハリーの肌に消えない守りを残しました。1年生の終わりに、ダンブルドアがそのことをハリーに説明しています[5:1]。
「君の母上は、君を守るために死んだ。ヴォルデモートに理解できないことがあるとすれば、それは愛じゃ。君の母上の愛情が、その愛の印を君に残してゆくほど強いものだったことに、彼は気づかなかった。傷痕のことではない。目に見える印ではない……それほどまでに深く愛を注いだということが、たとえ愛したその人がいなくなっても、永久に愛されたものを守る力になるのじゃ。それが、君の肌に残っておる。クィレルのように憎しみ、欲望、野望に満ちた者、ヴォルデモートと魂を分け合うような者は、それがために君に触れることができんのじゃ。かくもすばらしいものによって刻印された君のような者に触れるのは、苦痛でしかなかったのじゃ」
ダンブルドアがハリーをダーズリー家の戸口に置いたとき添えた手紙にも、同じ守りのことが書かれていました。リリーの血を引く者が住む場所を家と呼べるかぎり、ハリーはヴォルデモートの報復から守られる——だからプリベット通り4番地が唯一の安全な場所である、という説明です[12:5]。リリーがいかに勇敢に死んだかを読んだペチュニアは、甥を引き取るほかないと感じました[12:6]。
秘密の部屋でトム・リドルになぜ自分を殺せなかったのかと問われたハリーは、この守りを自分の言葉で答えています。「母が、僕をかばって死んだからだ」——リドルはそれを「呪いに対する強力な反対呪文」と認めました[25]。
守りの連鎖は、1995年にヴォルデモートがハリーの血を使って肉体を取り戻したことで思わぬ形に伸びます。キングズ・クロスでダンブルドアが説明したところによれば、リリーの守りはヴォルデモート自身の中にも入り、ハリーが生きているかぎりヴォルデモートも彼を殺しきれない状態になりました[26]。
ハリーの前に現れた場面
ハリーが初めて母の姿を見たのは、1年生の冬、みぞの鏡の中でした[27]。
とてもきれいな女性だった。深みがかった赤い髪で、目は……僕の目とそっくりだ。ハリーは鏡にもっと近づいてみた。明るいグリーンの目だ―形も僕にそっくりだ。ハリーはその女の人が泣いているのに気づいた。ほほえみながら、泣いている。
3年生では、吸魂鬼に近づかれるたびに死の場面の記憶が呼び覚まされ、ジェームズの叫びと母の悲鳴を繰り返し聞くことになりました[28]。
1995年6月、三大魔法学校対抗試合の最終課題でヴォルデモートと杖を交えたとき、直前呪文が起きて杖から犠牲者たちの影が現れます。リリーの影はハリーに語りかけました[29]。
「お父さんが来ますよ……」女性が静かに言った。「お父さんのためにもがんばるのよ……大丈夫……がんばって……」
1998年5月、ホグワーツの戦いのさなかに蘇りの石を使ったハリーの前にも、ジェームズ・シリウス・ルーピンとともに現れ、禁じられた森まで付き添いました[30]。
「あなたはとても勇敢だったわ」
牝鹿の守護霊
ダンブルドアにリリーの助命を拒まれたスネイプは、代わりにハリーを守り続けることを引き受けました[1:10]。
「リリーがどのようにして、なぜ死んだかわかっておるじゃろう。その死をむだにせぬことじゃ。リリーの息子を、わしが守るのを手伝うのじゃ」
その17年後の冬、森をさまよっていたハリーの前に銀色の牝鹿の守護霊が現れ、グリフィンドールの剣が沈む池へ導きます。母の姿を知らないはずのハリーは、この牝鹿に見覚えを覚えました[31]。
ハリーは呆然として牝鹿を見つめた。見知らぬ生き物だからではない。なぜかこの牝鹿を知っているような気がしたからだ。この牝鹿と会う約束をして、ずっと来るのを待っていたのに、いままでそのことを忘れていたような気がした。
牝鹿を送ったのがスネイプだと分かるのは、憂いの篩の中の校長室の場面です。あの子に情が移ったのかとダンブルドアに問われたスネイプは、答える代わりに守護霊を呼び出しました[1:11]。
スネイプの杖先から、銀色の牝鹿が飛び出した。牝鹿は校長室の床に降り立って、一跳びで部屋を横切り、窓から姿を消した。ダンブルドアは牝鹿が飛び去るのを見つめていた。そして、その銀色の光が薄れたとき、スネイプに向き直ったダンブルドアの目に、涙があふれていた。
続く「これほどの年月が、経ってもか?」「永遠に」という短い応答は、この牝鹿が指しているのがハリーではなくリリーだという了解のうえに成り立っています[1:12]。守護霊はその人の生涯の愛の姿に変わることがあると作者も述べています[8:1]。
『ハリー・ポッターと呪いの子』では、同じ場面を見たスコーピウス・マルフォイがそれを言葉にしています[32]。
スネイプがパトローナスを送り出す。白く美しい雌鹿の守護霊だ。
スコーピウス 雌の鹿? リリーの守護霊?
子孫
ハリーとジニー・ウィーズリーの3人の子どものうち、祖母の緑の目を受け継いだのはアルバス・セブルスだけでした[33]。末娘にはリリー・ルーナ・ポッターと名付けられています[33:1]。
外見
深みがかった赤い髪と、明るい緑色の目をしていました[27:1]。この目はハリーがそのまま受け継いでおり、彼を見た大人たちが母親を思い出す手がかりになっています[34]。ダンブルドアがスネイプに「その男の子は、彼女の目を持っている。そっくり同じ目だ」と告げる場面は、スネイプがハリーを守る動機そのものを言い当てたものでした[1:13]。髪は肩にかかる長さで、蘇りの石で呼び出されたときもその姿でした[30:1]。
性格・人物像
友人の過ちには率直で、相手が誰であっても言うべきことを言いました。湖畔ではジェームズを面と向かって責め、同じ場でスネイプに罵られると、感情的にならずに「これからは邪魔しないわ」と応じています[19:4]。スネイプとの決別も、罵り言葉そのものよりも、彼が選んだ交友関係を理由としていました[1:14]。
スラグホーンは彼女を「生き生きとしていた。魅力的な子だった」と評し、自分が何か言うたびに「悪戯っぽく言い返された」ことを懐かしんでいます[3:3]。秘密保持法の限界を試して警告状を受け取ることもあったという作者の言明も、この気質と地続きです[15:1]。
死の場面では、ヴォルデモートから見逃すと持ちかけられながら、繰り返し身代わりを申し出て動きませんでした[4:6]。ハリーがネビル・ロングボトムとの対比を考えたとき、分かれ目になると考えたのはまさにこの点でした——ネビルの母もリリーと同じように死んだだろうか、と[35]。
魔法の能力
魔法薬学に秀でていました。担当のスラグホーンは「教え子の中でも、頭抜けた一人」と言い、自分の寮に来るべきだったと繰り返し口にしていたと語っています[3:4]。ハリーが同じ科目で成果を出すたび、スラグホーンはその才能を母親に重ねました[9:2][18:1]。
守護霊は牝鹿でした。スネイプの守護霊が生涯これと同じ姿を取り続けたことは、彼のリリーへの想いの証として描かれます[1:15](#牝鹿の守護霊の節を参照)。夫ジェームズの守護霊が牡鹿だったこととの対応について、作者は偶然ではないと述べています[8:2]。
No, the Patronus often mutates to take the image of the love of one's life (because they so often become the 'happy thought' that generates a Patronus).
(いいえ。守護霊は、その人の生涯の愛の姿に変化することがよくあります。そういう相手こそが、守護霊を生み出す「幸せな思い」になることが多いからです)
人間関係
セブルス・スネイプ
コークワースの幼なじみで、リリーに魔女であることを教えたのはスネイプでした[1:16]。寮が分かれてからも交友は続きましたが、彼が闇の魔術に傾く仲間と付き合うようになったことで関係は壊れます[1:17]。
作者は、この破局をスネイプ自身の悲劇として説明しています[8:3]。
He wanted Lily and he wanted Mulciber too. He never really understood Lily's aversion; he was so blinded by his attraction to the dark side he thought she would find him impressive if he became a real Death Eater.
(彼はリリーも欲しかったし、マルシベールも欲しかったのです。リリーがなぜ嫌うのかを、彼はついに理解しませんでした。闇の側への魅力に目がくらんでいたので、本物の死喰い人になればリリーが自分を大した者だと思うだろうと考えていたのです)
リリーの死後、スネイプはダンブルドアと取り引きし、その息子を守り続けました[1:18]。
ジェームズ・ポッター
在学中は誘いを断り続け、湖畔では「傲慢で弱い者いじめの、いやなやつ」と面と向かって言っています[19:5]。交際が始まったのは7年生になってからで、ルーピンとシリウスによれば、ジェームズが少し頭を冷やしてからのことでした[20:2]。作者は、ジェームズがスネイプに取った態度の一因は、スネイプがリリーに寄せる感情への疑いにあったと述べています[8:4]。
ペチュニア・ダーズリー
姉妹の関係は、リリーがホグワーツに行くことになった時点から傾き始めました[1:19]。ペチュニアは、両親が妹を大切にしているという思いと、自分もホグワーツに呼ばれたいという願いを抱えていました[12:7]。
作者によれば、ペチュニアが妹を自分の人生から切り捨てたことには潜在的な罪の意識がありました。リリーが心の底ではずっと自分を愛していたことを、ペチュニア自身も知っていたからです[12:8]。最終巻でハリーに最後の別れを告げる場面には、長く忘れられていた姉妹への愛と、リリーの目をもう見ることがないという思いが、あと少しで表に出そうになる様子を描いたのだと作者は説明しています[12:9]。
この2段落が拠っているポッターモアの記事「バーノンとペチュニア・ダーズリー」は、日本語版と英語版で意味が食い違う箇所があります。
罪の意識を述べた一節は、英語版では the way she had cut Lily (whom she knew, in her secret heart, had always loved her) out of her life です。括弧の中の whom は直前のリリーを、her はペチュニアを指すので、「リリーがずっと自分を愛していたことを、ペチュニアは心の奥底では知っていた」となります。日本語版は「自分がずっとリリーを愛していたことを心の奥底でペチュニアは知っていました」と、愛の向きが入れ替わっています。
また日本語版はリリーを「姉」と書いていますが、姉はペチュニアのほうです[36][37][38]。英語版は her sister としか書いておらず、姉妹のどちらが上かに触れていません。
ハリー・ポッター
息子と過ごせたのは1年3か月ほどでした。潜伏中の手紙には、玩具の箒で飛び回る1歳のハリーの様子が書かれています[24:1]。ハリー自身が母を覚えているのは吸魂鬼が呼び起こす悲鳴だけで、姿を見たのはみぞの鏡が最初でした[28:1][27:2]。
J.K.ローリングのコメント
リリーが死喰い人だったという説、生きているという説はいずれも作者が否定しています。前者への返答は一言でした[39]。
How dare you?!
(よくもまあ!)
後者への返答も同じく短いものです[40]。
No, afraid not.
(いいえ、残念ながら)
リリーとジェームズを主人公にした前日譚を書く予定もないと述べています[41]。
禁じられた森でハリーが死の呪いを受けて生還した仕組みについては、リリーの守りがヴォルデモートの中で生き続けていたためだと説明されています[42]。
Having taken Harry's blood into himself, Voldemort is keeping alive Lily's protective power over Harry.
(ハリーの血を自分の中に取り込んだことで、ヴォルデモートはハリーに及ぶリリーの守りの力を生かし続けているのです)
舞台裏
『炎のゴブレット』で杖から両親の影が現れる順序は、作者の原稿ではリリーが先、ジェームズが後でした。アメリカの編集者から順序が逆ではないかと指摘されて入れ替えたものの、あとになって元の順序が正しかったと気づいたと述べています[43]。刊行された本文は訂正されていません。
年表
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと賢者の石』(本人は登場せず、言及と鏡像のみ)
- 第1章「生き残った男の子」
- 第4章「鍵の番人」
- 第5章「ダイアゴン横丁」
- 第12章「みぞの鏡」
- 第17章「二つの顔をもつ男」
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(言及のみ)
- 第17章「スリザリンの継承者」
- 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(言及と記憶のみ)
- 第1章「ふくろう便」
- 第2章「マージおばさんの大失敗」
- 第10章「忍びの地図」
- 第12章「守護霊」
- 第19章「ヴォルデモート卿の召使い」
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
- 第14章「許されざる呪文」
- 第34章「直前呪文」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第2章「ふくろうのつぶて」
- 第3章「先発護衛隊」
- 第9章「ウィーズリーおばさんの嘆き」
- 第28章「スネイプの最悪の記憶」
- 第29章「進路指導」
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(言及のみ)
- 第4章「ホラス・スラグホーン」
- 第7章「ナメクジ・クラブ」
- 第9章「謎のプリンス」
- 第18章「たまげた誕生日」
- 第22章「埋葬のあと」
- 第25章「盗聴された予見者」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第8章「結婚式」
- 第10章「クリーチャー語る」
- 第16章「ゴドリックの谷」
- 第17章「バチルダの秘密」
- 第19章「銀色の牝鹿」
- 第22章「死の秘宝」
- 第33章「プリンスの物語」
- 第34章「再び森へ」
- 第35章「キングズ・クロス」
- 終章「十九年後」
- 『ハリー・ポッターと呪いの子』
- 第三幕
- Pottermore Presents『ホグワーツ 勇気と苦難と危険な道楽』
- Pottermore Presents『ホグワーツ 権力と政治と悪戯好きのポルターガイスト』
- ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ
- 「ポッター一族」
- 「バーノンとペチュニア・ダーズリー」
- 「コークワース」
- J.K. ローリング旧公式サイト(F.A.Q. / Rumours)
- J.K. ローリングのライブチャット(2007年7月30日)
脚注
『ハリー・ポッターと死の秘宝』第33章「プリンスの物語」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎
ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「バーノンとペチュニア・ダーズリー」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎
『ハリー・ポッターと賢者の石』第1章「生き残った男の子」 ↩︎
J.K. ローリング旧公式サイト「F.A.Q. — In "Philosopher's Stone" Aunt Petunia says that Lily came back from Hogwarts with frog spawn in her pockets and turned teacups into rats. If this is true, why wasn't Lily expelled?」 ↩︎ ↩︎
Pottermore Presents『ホグワーツ 権力と政治と悪戯好きのポルターガイスト』 ↩︎
Pottermore Presents『ホグワーツ 勇気と苦難と危険な道楽』 ↩︎
J.K. ローリング旧公式サイト「F.A.Q. — What is the significance of Neville being the other boy to whom the prophecy might have referred?」 ↩︎
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第25章「盗聴された予見者」 ↩︎
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』第17章「スリザリンの継承者」 ↩︎
『ハリー・ポッターと死の秘宝』第35章「キングズ・クロス」 ↩︎
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第34章「直前呪文」 ↩︎
『ハリー・ポッターと死の秘宝』第19章「銀色の牝鹿」 ↩︎
『ハリー・ポッターと呪いの子』第三幕 ↩︎
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第3章「先発護衛隊」 ↩︎
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第7章「ナメクジ・クラブ」 ↩︎
『ハリー・ポッターと賢者の石』第5章「ダイアゴン横丁」 ↩︎
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第2章「マージおばさんの大失敗」 ↩︎
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第2章「ふくろうのつぶて」 ↩︎
J.K. ローリング旧公式サイト「Rumours — Lily Potter Was Once a Death Eater」 ↩︎
J.K. ローリング旧公式サイト「Rumours — Lily Potter is still alive」 ↩︎
J.K. ローリング旧公式サイト「Rumours — I am going to write a book about Lily and James once I've finished the seven books about Harry Potter」 ↩︎
J.K. ローリング旧公式サイト「F.A.Q. — What exactly happened when Voldemort used the Avada Kedavra curse on Harry in the forest?」 ↩︎
J.K. ローリング旧公式サイト「F.A.Q. — At the end of 'Goblet of Fire', in which order should Harry's parents have come out of the wand?」 ↩︎