ベイン
ベイン (Bane) は、禁じられた森に棲むケンタウルスです。真っ黒な髪と胴体を持ち、ロナンより荒々しい風貌をしています[1]。ケンタウルスは天に逆らわないと誓った身であり、惑星の動きから読み取った未来にだけ関心を持てばよいという信条から、人間に手を貸したフィレンツェを激しく責めました[1:1]。
名前: ベイン(Bane)
性別: 男性
種: ケンタウルス
禁じられた森でのフィレンツェとの対立
1992年、傷ついたユニコーンを捜してハグリッドが禁じられた森に入った夜、ロナンと話すハグリッドたちの前に、木立の中から現れました。挨拶を交わしたあと、最近この辺りでおかしなものを見なかったかとたずねられると、ロナンのそばまで歩いていき、隣に立って空を見上げます[1:2]。
「今夜は火星が明るい」ベインはそれだけ言った。
同じ答えをすでにロナンから聞いていたハグリッドは、何か気づいたら知らせてくれと言い残して、その場を離れました[1:3]。
その夜遅く、ユニコーンの血を吸う影に襲われかけたハリー・ポッターをフィレンツェが救い、自分の背に乗せようとした場面に、ベインはロナンとともに駆けつけます。脇腹を波打たせ、汗に光らせながら現れたベインは、フィレンツェの名を怒鳴りました[1:4]。
「何ということを……人間を背中に乗せるなど、恥ずかしくないのですか? 君はただのロバなのか?」
相手はポッター家の子であり、一刻も早く森を離れたほうがよいのだとフィレンツェが答えると、ベインは唸るように言いました[1:5]。
「君はこの子に何を話したんですか? フィレンツェ、忘れてはいけない。我々は天に逆らわないと誓った。惑星の動きから、何が起こるか読み取ったはずじゃないかね」
フィレンツェは最善と思うことをしているのだとロナンが口を挟むと、ベインは後足を蹴り上げて反発します[1:6]。
「最善! それが我々と何のかかわりがあるんです? ケンタウルスは予言されたことにだけ関心を持てばそれでよい! 森の中でさ迷う人間を追いかけてロバのように走り回るのが我々のすることでしょうか!」
フィレンツェはハリーを背に乗せたまま木立に飛び込み、二頭をその場に残しました[1:7]。このあとハリーは、ロンとハーマイオニーに、この夜のことをダンブルドアへ訴えようと話すなかで、「ベインさえ止めなければ、フィレンツェが証言してくれるかもしれない」と言っています[2]。
フィレンツェの追放をめぐって
1996年、フィレンツェはホグワーツの占い学教師となり、人間のために働くことを種族への裏切りとみなした群れから追放されました。その最初の授業で、ハリーは四年前の夜のことを思い返し、フィレンツェの胸を蹴ったのはベインではないかと考えています。ただし原作はそれを確かめておらず、ハリーの推測にとどまります[3]。
ハグリッドとの対峙
同じ年、禁じられた森に立ち入り続けるハグリッドの前に、ベインはマゴリアンら数頭とともに現れました[4]。
そのケンタウルスの背後の森がガサゴソ音を立て、あと四、五頭のケンタウルスが現れた。黒い胴体、顎ひげを生やした一頭は、見覚えのあるベインだ。
四年前のあの夜に会ったベインだとハリーは気づきますが、ベインのほうはハリーを見たことがあるという素振りをまったく見せませんでした。ベインはマゴリアンに向かって、この森に再びこのヒトが顔を出したらどうするかは決めてあったはずだと言い、ハグリッド自身にも矛先を向けます[4:1]。
「おまえもそうだ、ヒトよ」ベインが言った。「我々の警告にもかかわらず、我らの森に戻ってくるとは――」
マゴリアンがハグリッドの連れを「君の若駒が」と呼びかけたときには、軽蔑して遮りました[4:2]。
「こいつのじゃない!」ベインが軽蔑したように遮った。「マゴリアン、学校の生徒だぞ! たぶん、すでに、裏切り者のフィレンツェの授業の恩恵を受けている」
アンブリッジの連れ去り
1996年6月、ハーマイオニーはドローレス・アンブリッジを禁じられた森へ誘い込みました。四方八方から五十頭あまりのケンタウルスが現れ、アンブリッジが魔法生物規制管理部の法令を持ち出して群れを「半獣」と呼んだとき、最初に声を上げたのがベインです[5]。
「我々のことを何と呼んだ?」荒々しい風貌の黒毛のケンタウルスが叫んだ。ハリーにはそれがベインだとわかった。
魔法省が一定の区画に棲むことを許しているのだとアンブリッジが言い返すと、その頭すれすれに矢が飛びました。ベインは声を轟かせます[5:1]。
「人間よ、さあ、誰の森だ?」ベインが声を轟かせた。
アンブリッジがマゴリアンをロープで縛ると、群れが襲いかかりました[5:2]。
ハリーが頭をわずかに持ち上げて見ると、アンブリッジが背後からベインに捕らえられ、空中高く持ち上げられて恐怖に叫びながらもがいていた。
ハリーとハーマイオニーが引き起こされたとき、アンブリッジはすでにベインに連れ去られていくところでした。その悲鳴は、蹄で地面を蹴る音に掻き消されて聞こえなくなります[5:3]。
ホグワーツの戦い
1998年5月、ホグワーツの戦いの終盤、城には次々と援軍が押し寄せました。ベインもロナン、マゴリアンとともに駆け込んできます[6]。
ケンタウルスのベイン、ロナン、マゴリアンが蹄の音も高く大広間に飛び込んできたまさにそのとき、ハリーの背後の、厨房に続く扉の蝶番が吹き飛んだ。
『ハリー・ポッターと呪いの子』での再会
『ハリー・ポッターと呪いの子』では、行方不明になった息子を捜して禁じられた森に入ったハリーの前に、蹄の音とともに現れます。ホグワーツの戦いで共に戦ったではないかとハリーが訴えても、ベインはそれを退けました[7]。
ベイン 私は自分の役割を果たした。しかし我が群れとその名誉のためだ。君たちのためではない。あの戦いのあと、この森はケンタウルスの土地だとみなされている。そして君は我々の土地にいる――許しを得ずに――ならば、君は我々の敵だ。
それでも、話すのは君のためではなく我が群れのためであり、ケンタウルスはさらなる戦いを欲しないのだと断ったうえで、ベインは星に見たものを告げます[7:1]。
ベイン ハリー・ポッター、私は君の息子を見た。星々の動きの中に見た。
どこにいるかも、どうすれば見つけられるかも言えないとしながら、ベインは息子の周りに危険な黒い雲があると伝えました。それは自分たち全部を危険にさらすかもしれない黒雲であり、ハリーは再び息子を見つけるだろうが、永久に失うかもしれない、というのがその内容です[7:2]。
外見
初めて姿を現した場面の描写は次のとおりです[1:8]。
ロナンの後ろの木立の中で何かが動いた。ハグリッドはまた弓を構えた。だがそれは別のケンタウルスだった。真っ黒な髪と胴体でロナンより荒々しい感じがした。
四年後、ハグリッドの前に現れたときには、黒い胴体に顎ひげを生やしていました[4:3]。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと賢者の石』
- 第15章「禁じられた森」
- 第16章「仕掛けられた罠」(ハリーの言及)
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第27章「ケンタウルスと密告者」(ハリーの言及)
- 第30章「グロウプ」
- 第33章「闘争と逃走」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
- 第36章「誤算」
- 『ハリー・ポッターと呪いの子』第2幕