悪魔の罠

悪魔の罠 (Devil's Snare) は、触れた者に蔓を巻きつけて絞め殺す魔法界の植物です。暗闇と湿気を好み、光と温もりに晒されると怯んで力を緩めます[1]

基本情報

名称: 悪魔の罠 (Devil's Snare)
分類: 魔法界の植物
性質: 触れた者の手足に蔓を巻きつけ、絞め殺す[1:1][2]
好むもの: 暗闇と湿気[1:2]
弱点: 光と温もり[1:3]
関連する人物: ポモーナ・スプラウトブロデリック・ボード

性質

蔓に触れると、ヘビのように手足に絡みついて締めつけてきます。振りほどこうともがくほど、蔓はきつく、素早く巻きついていきます[1:4]。胸に巻きつけば息ができなくなり[1:5]、そのまま絞め殺されます[2:1]

暗闇と湿気を好むため、光と温もりを浴びせられると怯んで締めつける力を緩め、絡めとった相手から解けていきます[1:6]

鉢植えの状態では、長い触手をゆらゆらさせた醜い植物に見えます。無害な「ひらひら花」と見分けがつかず、聖マンゴ魔法疾患傷害病院の癒者が取り違えたこともあります[3][2:2]

ホグワーツでは薬草学で扱われ、ハリーたちは1年生のあいだにスプラウト先生からその性質を教わっています[1:7]

賢者の石を守る仕掛け

1992年、ホグワーツに隠された賢者の石を守る仕掛けの一つとして悪魔の罠が使われました。仕掛けたのはスプラウト先生です[1:8]

四階の廊下にある仕掛け扉から飛び降りたハリーは、着地したところに生えていた植物を、落下の衝撃を和らげるためのものだと考えました[1:9]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第16章「仕掛けられた罠」

「わかんない。何か植物らしい。落ちるショックを和らげるためにあるみたいだ。さあ、ハーマイオニー、おいでよ!」

三人が着地するとすぐに蔓が動きはじめ、ハーマイオニーは固く巻きつく前に振りほどきましたが、ハリーとロンは脚を締めつけられて動けなくなります[1:10]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第16章「仕掛けられた罠」

「動かないで!」ハーマイオニーが叫んだ。

「私、知ってる……これ、『悪魔の罠』だわ!」

ハーマイオニーは薬草学の授業を思い出して弱点を探り当てます[1:11]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第16章「仕掛けられた罠」

「『悪魔の罠』、『悪魔の罠』っと……スプラウト先生は何て言ったっけ? 暗闇と湿気を好み……」

火をつけようにも薪がないと言って両手をよじるハーマイオニーに、ロンが「君はそれでも魔女か!」と怒鳴り、ハーマイオニーは杖からリンドウ色の炎を放ちました[1:12]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第16章「仕掛けられた罠」

ハーマイオニーはサッと杖を取り出し、何か呟きながら振った。すると、スネイプにしかけたのと同じリンドウ色の炎が植物めがけて噴射した。草が光と温もりですくみ上がり、二人の体を締めつけていたツルが、見る見る解けていった。草は身をよじり、へなへなとほぐれ、二人はツルを振り払って自由になった。

聖マンゴ魔法疾患傷害病院での殺害

1995年のクリスマス、聖マンゴ魔法疾患傷害病院のヤヌス・シッキー病棟に入院していたブロデリック・ボードのもとへ、鉢植えが届きました。癒者はそれをベッド脇の収納棚に置き、ハリーたちはその場に居合わせています[3:1]

病棟を担当していた癒者ミリアム・ストラウトは、これを無害な「ひらひら花」だと思い込み、言語と運動能力が回復してきていたボードに、自分で世話をするよう勧めました[2:3]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第25章「追い詰められたコガネムシ」

ボード氏は、言語並びに運動能力が改善していたため、ストラウト癒師は、植物が無害な「ひらひら花」ではなく、「悪魔の罠」の切り枝だったとは気づかず、ボード氏自身が世話をするよう勧めました。植物は、快方に向かっていたボード氏が触れたとたん、たちまち氏を絞め殺しました。

ボードは鉢植え植物に首を絞められ、ベッドで死亡しているのが見つかりました。『日刊予言者新聞』の記事でこれを知ったハリーたちは、自分たちが見た鉢植えがそれだったと気づきます。ハーマイオニーは、贈り主が匿名である以上誰が殺したかは分からないとして、これを巧妙な殺人だと断じました[2:4]

ボードは魔法省神秘部に勤める無言者でした。のちにハリーは、ヴォルデモートの見ているものを通して、ボードがルシウス・マルフォイ服従の呪文をかけられ、神秘部から「武器」を持ち出そうとして負傷したことを知ります。ハーマイオニーは、回復すれば経緯を話してしまうためにボードは口を封じられたのだと結論づけました[4]

ホグワーツの戦い

1998年、ホグワーツの戦いを前に城の防衛を固める場面で、スプラウト先生は使う植物の一つとして悪魔の罠を挙げました[5]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第30章「セブルス・スネイプ去る」

「『食虫蔓』『悪魔の罠』それにスナーガラフの種……そう、死喰い人が、こういうものと戦うところを拝見したいものだわ」

実際の戦闘で描かれるのは、スプラウト先生と生徒たちが運び出したマンドレイク[6]、ピーブズが死喰い人の頭上に落としたスナーガラフの種、そしてネビル・ロングボトムが振り回した有毒食虫蔓で[7]、悪魔の罠が使われる場面は書かれていません。

比喩としての「悪魔の罠」

クィレルがターバンを解こうとする場面で、恐怖に動けなくなったハリーの感覚がこう書かれています[8]

『ハリー・ポッターと賢者の石』第17章「二つの顔をもつ男」

「悪魔の罠」がハリーをその場に釘づけにしてしまったような感じだった。ハリーは指一本動かせなくなってしまった。

スラグホーン先生のクリスマス・パーティでコーマック・マクラーゲンから逃げてきたハーマイオニーの姿も、同じ植物にたとえられています[9]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第15章「破れぬ誓い」

ハーマイオニーは、「悪魔の罠」の茂みと格闘して逃れてきたばかりのように、見るからにぐしゃぐしゃだった。

魔法界にだけある危険

J.K. ローリングは、魔法使いが病気や怪我にどう対処するかを論じたなかで、マグルの世界には存在しない危険の例として悪魔の罠を挙げています[10]

ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「病気と障害」

マグルの世界には「悪魔の罠」や「尻尾爆発スクリュート」といった危険なものは存在しませんし、「機密保持法」があるため、「龍痘」(その名前が示すとおり、元々は「ペルー・バイパーツース種」と密接に関わる仕事をしていた魔法使いから感染させられるものでした)や「黒斑病」をうつす可能性のある者にマグルが接触することもないのです。

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと賢者の石』第16章「仕掛けられた罠」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第25章「追い詰められたコガネムシ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第23章「隔離病棟のクリスマス」 ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第26章「過去と未来」 ↩︎

  5. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第30章「セブルス・スネイプ去る」 ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第31章「ホグワーツの戦い」 ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第32章「ニワトコの杖」 ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと賢者の石』第17章「二つの顔をもつ男」 ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第15章「破れぬ誓い」 ↩︎

  10. ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「病気と障害」 ↩︎