ヘプジバ・スミス (Hepzibah Smith) は、魔法界の宝物を蒐集していた年老いた大金持ちの魔女です[1]ヘルガ・ハッフルパフの遠縁の子孫を自称し、ハッフルパフのカップとサラザール・スリザリンのロケットを所有していました[1:1]。この二つをトム・リドルに見せた二日後に死去し、二つの品は屋敷から失われます[1:2]

人物情報

名前: ヘプジバ・スミス(Hepzibah Smith)
性別: 女性
種: 人間・魔法族
死去: トム・リドルが屋敷を訪れた二日後(年月日は原作に記載がありません)

来歴

ヘプジバ・スミスの生い立ちや家族について、原作は何も述べていません。その姿が現れるのは、アルバス・ダンブルドアハリーに見せた憂いの篩の記憶のなかだけです。この記憶の持ち主は、ヘプジバに仕えていた屋敷しもべ妖精のホキーでした[1:3]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」

「さて、ホキーの話を聞くときが来た。この屋敷しもべ妖精が仕えていたのは、年老いた大金持ちの魔女で、名前をヘプジバ・スミスと言う」

記憶に映るのは、ボージン・アンド・バークスに勤めていたトム・リドルが屋敷を訪れる場面です。ヘプジバはリドルを迎え入れ、蒐集品のなかから二つの品――ハッフルパフのカップとスリザリンのロケット――を取り出して見せました[1:4]

ヘプジバは、この場面の二日後に死去しました[1:5]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」

「ヘプジバ・スミスは、あの短い場面の二日後に死んだ」

死因は夜食のココアに入れられた毒でした。屋敷しもべ妖精のホキーが誤って毒を入れたとされ、魔法省から有罪判決を受けています[1:6]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」

「屋敷しもべ妖精のホキーが、誤って女主人の夜食のココアに毒を入れた廉で、魔法省から有罪判決を受けたのじゃ」

ダンブルドアは、ヴォルデモートがホキーの記憶を改ざんし、カップとロケットを奪って姿を消したのだと結論づけています[1:7]。ただしダンブルドア自身、この記憶から言えるのは「ホキーの記憶は、ヴォルデモートが、カップとロケットの存在を知っておったということを証明するにすぎぬ」という点までだと断っており、経緯が本文で確定した事実として描かれているわけではありません[1:8]

所有物

ハッフルパフのカップ

ヘプジバは、金のカップをヘルガ・ハッフルパフのものだとリドルに告げました[1:9]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」

「ヘルガ・ハッフルパフの物よ。よくご存知のようにね。なんて賢い子!」

ヘプジバはさらに、自分がハッフルパフの遠縁の子孫であること、カップが代々家に伝わってきた品であることを語っています[1:10]。血縁を示す根拠として原作が挙げているのは、この本人の言葉だけです。

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」

「あたくしが、ずっと離れた子孫だって言わなかった? これは先祖代々受け継がれてきた物なの。きれいでしょう? それに、どんなにいろいろな力が秘められていることか。でも、あたくしは完全に試してみたことがないの。ただ、こうして大事に、安全にしまっておくだけ……」

カップが再び姿を見せるのは、およそ五十年後です。ハーマイオニーがベラトリックス・レストレンジに変装してグリンゴッツ魔法銀行に押し入った場面で、ハリーはレストレンジ家の金庫の棚にカップを見つけました。そこで来歴が次のように語り直されています[2]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第26章「グリンゴッツ」

ヘルガ・ハッフルパフのものだったカップ。ヘプジバ・スミスに引き継がれ、トム・リドルに盗まれたカップだ。

カップがいつ、誰の手でこの金庫に移されたのかは書かれていません。ただし金庫破りの報せを受けたヴォルデモートが、次のように考えていることから、分霊箱の隠し場所としてレストレンジ家に託していたことがわかります[3]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第27章「最後の隠し場所」

ベラトリックスやマルフォイのやつらを信用したのは、重大な過ちだった。

スリザリンのロケット

サラザール・スリザリンのロケットは、ボージン・アンド・バークスの店主バークから買い取った品でした。ヘプジバによれば、バークはこれを、盗んだものらしい「みすぼらしい身なりの女」から、本当の価値を知られないまま手に入れたといいます[1:11]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」

「身包み剥がされるほど高かったわ。でも、見逃すことはできなかったわね。こんなに貴重な物を。どうしても、あたくしのコレクションに加えたかったのよ。バークはどうやら、みすぼらしい身なりの女から買ったらしいわ。その女は、これを盗んだらしいけれど、本当の価値をまったく知らなかったようね――」

J.K.ローリングのコメント

2007年7月30日のブルームズベリー社のライブチャットで、各分霊箱がどの人物の死によって作られたのかを問われたJ.K. ローリングは、ハッフルパフのカップの犠牲者としてヘプジバ・スミスの名を挙げました[4]。このライブチャットに公式の日本語訳はないため、以下は原文を示したうえで訳を添えています。

J.K. ローリングのライブチャット(2007年7月30日)

The cup - Hepzibah Smith, the previous owner.

(カップは、その前の持ち主であるヘプジバ・スミスです)

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第20章「ヴォルデモート卿の頼み」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第26章「グリンゴッツ」 ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第27章「最後の隠し場所」 ↩︎

  4. J.K. ローリングのライブチャット(2007年7月30日) ↩︎