フラー・デラクール

フラー・デラクール (Fleur Delacour) は、フランスのボーバトン魔法アカデミーの生徒で、1994年から1995年にかけての三大魔法学校対抗試合にボーバトンの代表選手として出場した魔女です[1]。祖母がヴィーラです[2]。試合の場で知り合ったビル・ウィーズリーと1997年に結婚し[3]、第二次魔法戦争では新居「貝殻の家」に逃亡中のハリー・ポッターたちを匿ったのち、ホグワーツの戦いに加わりました[4][5]

人物情報

名前: フラー・デラクール (Fleur Delacour)
正式名: フラー・イザベル・デラクール (Fleur Isabelle Delacour)[3:1]
別名: ヌラー (Phlegm)ジニー・ウィーズリーが付けたあだ名)[6]
生まれ: 原作に明記はありません。三大魔法学校対抗試合の参加資格は十七歳以上でしたから、1994年10月に代表選手として選ばれた時点で十七歳以上でした[7][1:1]
性別: 女性
種: 人間・魔法族(祖母がヴィーラ。四分の一ヴィーラ)[2:1]

魔法特性

杖: 二十四センチ、しなりにくい、紫檀。芯は祖母のヴィーラの髪の毛が一本[2:2]
得意な魔法: 泡頭呪文[8]、家事と料理の魔法[9]

所属

出身校: ボーバトン魔法アカデミー[1:2]
職業: 三大魔法学校対抗試合ボーバトン代表選手[1:3]グリンゴッツ魔法銀行勤務(パートタイム)[10][6:1]

家族

来歴

三大魔法学校対抗試合(1994年‐1995年)

ボーバトン代表として

1994年10月30日、フラーはボーバトン魔法アカデミーの代表団の一員としてホグワーツに到着しました。歓迎の挨拶のさなかに嘲るような笑い声を上げたのがフラーで、大広間ではまだ頭にマフラーを巻いたままでした[1:4]。その席では、隣のグリフィンドールのテーブルまでブイヤベースを取りにきています[1:5]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第16章「炎のゴブレット」

ダンブルドアの挨拶のときに笑った、あのボーバトンの女子学生だった。やっとマフラーを取っていた。長いシルバーブロンドの髪が、さらりと腰まで流れていた。大きな深いブルーの瞳、真っ白できれいな歯並びだ。

10月31日の夜、炎のゴブレットは三枚の羊皮紙を吐き出しました。二番目に読み上げられたのがフラーです[1:6]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第16章「炎のゴブレット」

「ボーバトンの代表選手は」ダンブルドアが読み上げた。「フラー・デラクール!」

この試合の参加資格は十七歳以上に限られており[7:1]、選ばれなかったボーバトン生の中には泣き出す者もいました[1:7]。ところが四人目としてハリーの名が出てくると、フラーはそれを冗談だと受け取り、続いて抗議しました[16]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第17章「四人の代表選手」

「でも、なにかーの間違いにちがいありませーん」軽蔑したようにバグマンに言った。「このいとは、競技できませーん。このいと、若すぎまーす」

11月、代表選手の杖を検分する「杖調べ」の儀式で、フラーは最初にオリバンダーの前に進み出ました。杖は二十四センチのしなりにくい紫檀で、芯には祖母のヴィーラの髪の毛が一本入っていました[2:4]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第18章「杖調べ」

「ヴィーラの髪の毛でーす」フラーが言った。「わたーしのおばーさまのものでーす」

オリバンダーは、自分はヴィーラの髪を使ったことがないと述べ、「少々気まぐれな杖になるようじゃ」と評しています[2:5]

第一の課題

11月24日の第一の課題は、ドラゴンから金の卵を奪うというものでした。フラーが籤で引き当てたのはウェールズ・グリーン普通種です[17]。テントの中では頭のてっぺんから爪先まで震えていましたが、顔を上げ、杖をしっかりつかんで出ていきました[17:1]。囲い地で何をしたかは、試合後にロンがハリーへ伝えています[17:2]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第20章「第一の課題」

それから、あのフラーって子は、魅惑呪文みたいなのをかけた。恍惚状態にしようとしたんだろうな――うん、それもまあ、うまくいった。ドラゴンがすっかり眠くなって。だけど、いびきをかいたら、鼻から炎が噴き出して、スカートに火がついてさ――フラーは杖から水を出して消したんだ。

クリスマス・ダンスパーティ

12月25日のクリスマス・ダンスパーティには、レイブンクローのクィディッチ・キャプテン、ロジャー・デイビースをパートナーとして出席しました[18]。デイビースはフラーに見とれるばかりで、食事の席でフラーがホグワーツの飾りつけを貶しても、話の中身を聞いていないようだったとハリーは見ています[18:1]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第23章「クリスマス・ダンスパーティ」

「こんなの、なーんでもありませーん」大広間の輝く壁をぐるりと見回し、軽蔑したようにフラーが言った。「ボーバトンの宮殿では、クリースマスに、お食事のあいーだ、周りには、ぐるーりと氷の彫刻が立ちまーす。もちろーん、彫刻は、融けませーん……まるでおーきなダイヤモンドの彫刻のようで、ピーカピカ輝いて、あたりを照らしていまーす。そして、お食事は、とーてもすばらしいでーす。そして、森のニンフの聖歌隊がいて、お食事の間、歌を奏でまーす。こんな、見苦しーい鎧など、わたーしたちの廊下にはありませーん。もしーも、ポルターガイストがボーバトンに紛れ込むようなことがあーれば、追い出されまーす。コムサ!」

このパーティに先立って、玄関ホールでセドリック・ディゴリーと話していたところにロンが通りかかり、衝動的にパートナーを申し込まれています。フラーは答えず、ロンは逃げ出しました[19]。ハリーはこれを、フラーがセドリックに向けていた魅力にロンがあたったのだと説明しました[19:1]

第二の課題

翌年2月24日の第二の課題では、湖底に沈められた人質を一時間以内に取り戻すことが求められました。フラーの人質は妹のガブリエール・デラクールです[8:1]。フラーは泡頭呪文で湖に潜りましたが、グリンデローに襲われて引き返さざるをえず、人質のもとにたどり着けませんでした[8:2]

岸に戻ったフラーは湖へ戻ろうと半狂乱でもがき、マダム・マクシームに取り押さえられました[8:3]。ガブリエールは、自分の人質だけでなく全員を連れ帰ろうとしたハリーの手で岸に戻されています[8:4]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第26章「第二の課題」

「ガブリエールの面倒を見て」フラーはそう言うと、ハリーのほうを見た。「あなた、妹を助けました」フラーは声を詰まらせた。「あの子があなたのいとじちではなかったのに」

フラーは顔も腕も切り傷だらけでしたが、マダム・ポンフリーの手当てを断り、ハリーとロンの頬にキスをしました[8:5]。採点では泡頭呪文の使い方を評価されたものの、人質を取り戻せなかったため25点にとどまり、四人中最下位となりました[8:6]。この日を境に、ハリーに対する態度は一変します[20]

第三の課題

6月24日の第三の課題は、クィディッチ競技場に作られた巨大な迷路でした。得点で最下位のフラーは、四人目として最後に迷路へ入っています[12:1]。その朝、大広間脇の小部屋で家族と面会し、母とフランス語で話していました。妹のガブリエールも一緒です[12:2]。このとき、フラーが母の肩越しにビル・ウィーズリーをちらちら見ていることに、ハリーが気づいています[12:3]

迷路の中で悲鳴が上がったあと、フラーは姿を消しました[12:4]。試合後、マッド‐アイ・ムーディに変身していたバーティ・クラウチ・ジュニアが、通りかかったフラーに失神呪文をかけたと告白しています[21]

別れ

学年末、ボーバトンの馬車が発つ直前に、フラーはハリーを追いかけて石段を上ってきました[22]

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第37章「始まり」

「まーた、会いましょーね」フラーが近づいて、ハリーに片手を差し出しながら言った。「わたーし、英語が上手になりたーいので、ここであたらけるようにのぞんでいまーす」

グリンゴッツ勤務と婚約(1995年‐1997年)

その年の夏、フラーは英語を上達させるためにグリンゴッツ魔法銀行で働きはじめました。ハリーがそれを知るのは、ジョージ・ウィーズリーの噂話を通してです[10:1]

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第4章「グリモールド・プレイス 十二番地」

「あのフラー・デラクールって子、覚えてるか?」ジョージが言った。「グリンゴッツに勤めたんだ。えいごーがうまーくなるよーに――」

1996年の夏、フラーはビルの家族と親しくなるために「隠れ穴」に滞在していました。婚約をハリーに告げたのはフラー自身です[6:2]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第5章「ヌラーがべっとり」

「ビルはいま、とーても忙しいです。アードにあたらいていまーす。そして、わたし、グリンゴッツでパートタイムであたらいていまーす。えーいごのため。それで彼、わたしをしばらーくここに連れてきました。家族のいとを知るためでーす。あなたがここに来るというあなしを聞いてうれしかったでーす。――お料理と鶏が好きじゃないと、ここはあまりすることがありませーん! じゃ――朝食を楽しーんでね、アリー!」

この滞在は、ウィーズリー家の女性たちとの軋轢を生みました。ジニーはフラーを「ヌラー」と呼び、モリー・ウィーズリーはそれを咎めながらも、ビルの相手としてはニンファドーラ・トンクスのほうがよいと考えて、しきりに夕食へ招いていました[6:3]

クリスマスも「隠れ穴」で過ごしています。ラジオから流れるセレスティナ・ワーベックの歌を退屈だと言って隅で大声で話し、のちに歌い方をまねてみせました[23]。クリスマスの食卓で新しいセーターを着ていなかったのは、モリーとフラーの二人だけでした[23:1]

天文台の塔の戦いのあと(1997年6月)

1997年6月、ホグワーツの天文台の塔をめぐる戦いで、ビルはフェンリール・グレイバックに襲われて顔に深い傷を負いました[24]。病棟に駆けつけたフラーの前で、モリーが息子はもうすぐ結婚するはずだったと嘆いたことから、フラーは声を荒らげます[24:1]

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第29章「不死鳥の嘆き」

「ビルがもう、わたしと結婚したくなーいと思うのでーすか?」フラーが問い詰めた。

「こんな噛み傷のせーいで、このいとがもう、わたしを愛さなーいと思いまーすか?」

[…]

「狼人間なんかが、ビルに、わたしを愛することをやめさせられませーん!」

[…]

「このいとがどんな顔でも、わたしが気にしまーすか? わたしだけで十分ふーたりぶん美しいと思いまーす! 傷痕は、わたしのアズバンドが勇敢だという印でーす! それに、それはわたしがやりまーす!」

フラーは軟膏を奪ってモリーを押しのけ、自分でビルの傷を拭いはじめました。モリーは、大おばのミュリエルが持つゴブリン製のティアラを結婚式に借りられるよう掛け合うと申し出て、二人は抱き合って泣きました[24:2]

この場面はトンクスにも影響を与えました。ポッターモアのリーマス・ルーピンの記事は、こう述べています[25]

ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「リーマス・ルーピン」

まだ激戦の余韻も冷めやらぬなか、フラー・デラクールがグレイバックに噛まれたビル・ウィーズリーへの変わらぬ愛を誓ったのに触発され、トンクスも勇気を出してリーマスへの気持ちを公表します。

ダンブルドアの葬儀には、傷ついたビルを支えて参列しました[26]

「七人のポッター」と結婚式(1997年)

1997年7月、プリベット通りからハリーを脱出させる作戦で、フラーはポリジュース薬を飲んでハリーに変身した六人の囮の一人になりました。移動はビルとともにセストラルです[27]ヴォルデモートに追われながらも二人は無事に「隠れ穴」へ帰り着き、マッド‐アイ・ムーディが撃たれるところを目撃したと伝えました[28]

作戦の内容が漏れていたことを最初に指摘したのもフラーでした[28:1]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第5章「倒れた戦士」

「ええ、それはそのとーりでーすが」フラーが切り込んだ。「でも、わたしたちが今夜アリーを移動するこーとを、なぜ知っていーたのか、説明つきませーんね? 誰かがうっかりでしたに違いありませーん。誰かが外部のいとにうっかり漏らしましたね。彼らが日にちだけ知っていーて、プランの全部は知らなーいのは、それしか説明できませーん」

式はフランスではなく「隠れ穴」で挙げることになりました[28:2]。結婚式の二日前にデラクール一家が到着し[11:2]、フラーは式でのハリーの変装を提案しています[11:3]。7月31日のハリーの誕生日には、ビルとの連名で魔法のひげ剃りを贈りました[29]

翌8月1日の午後三時、果樹園に張られた白いテントで結婚式が行われました。父に伴われてバージンロードを歩いたフラーは、ミュリエルのティアラを着けていました[3:3]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第8章「結婚式」

すっきりした白いドレスを着たフラーは、銀色の強い光を放っているように見えた。いつもはその輝きで、他の者すべてが色褪せてしまうのだが、今日はその光に当たった者すべてが美しく見えた。

誓いの場面で、フルネームが読み上げられます[3:4]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第8章「結婚式」

「汝、ウィリアム・アーサーは、フラー・イザベルを……」

披露宴の最中に魔法省が陥落した報せが届き、宴は中断されました[3:5]

「貝殻の家」(1997年‐1998年)

ビルとフラーの新居は、ティンワース郊外の、海を見下ろす崖の上に建つ「貝殻の家」でした。白壁に貝殻を埋め込んだ一軒家で、秘密の守人はビル自身が務めています[9:1][4:1]。クリスマスに家出中のロンを匿ったのもこの家です[30]

1998年の春、マルフォイの館から逃れたハリーたちが、ドビーの「姿くらまし」でこの家に運び込まれました。フラーは負傷したグリップフックを家に運び入れ、ハーマイオニーの看病にあたり、グリップフックの脚には骨生え薬を飲ませています[4:2]。庭でドビーが埋葬されたときには、ビルとともに立ち会いました[4:3]

家はルーナ・ラブグッド、ディーン・トーマス、オリバンダー、グリップフックを加えて手狭になり、フラーは料理と看護に追われました。負担をかけたことをハリーが詫びたときの返事が残っています[9:2]

『ハリー・ポッターと死の秘宝』第25章「貝殻の家」

「アリー、あなたはわたしの妹の命を救いまーした。忘れませーん」

オリバンダーがミュリエルの家へ移るときには、借りたままだったティアラの返却を託しました[9:3]。ハリーたちがグリンゴッツへ向かうために発ったとき、計画の中身はビルにもフラーにも明かされていません[31]

ホグワーツの戦いとその後

1998年5月2日、ハリーがレイブンクローの髪飾りを探してホグワーツに戻ったとき、フラーはビルとともに「必要の部屋」へ集まった人々の中にいました[32]パーシー・ウィーズリーが家族のもとへ戻ってきたときの気まずい沈黙を破り、ルーピンに息子のテディの様子を尋ねたのがフラーです[32:1]。階段へ急ぎながら、パーシーはフラーと握手して「じゃあ、君は、僕の義姉さんになったんだね?」と声をかけました[32:2]。戦いのあと、大広間でビルやパーシーとともにいるところをハリーが見ています[33]

ポッターモアのボーバトン魔法アカデミーの記事は、この戦いでの働きに触れています[5:1]

ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「ボーバトン魔法アカデミー」

世界的に知られる「ホグワーツの戦い」に参加し、フランスとイギリス両国の魔法省からその勇気を称える勲章を授与された、フラー・デラクールといった面々がいます。

結婚から十七年後、2014年のクィディッチ・ワールドカップ決勝を報じる『日刊予言者新聞』に、ビルの妻としてフラーの名が出ます。二人に娘のビクトワールがいることも、同じ記事でわかります。ただし書き手はリータ・スキーターで、事実の周りは例によって悪意ある憶測で埋められています[13:1]

ポッターモア 「クィディッチ・ワールドカップ決勝戦にダンブルドア軍団再集結」(2014年7月8日)

唯一たやすく見分けがつくのはビルのみである。気の毒なことに、狼人間との遭遇によってできたひどい傷痕だらけだが、どういうわけか(呪文? 愛の妙薬? それとも脅迫? 拉致?)非の打ちどころのない美人(だが間違いなく頭は空っぽ)のフラー・デラクールと結婚している。

ローリングが自分で描いたウィーズリー家の家系図には、ビルとフラーの子として、ビクトワールのほかにドミニック・ウィーズリールイ・ウィーズリーの名が並んでいます[15:2]。この図はITVのドキュメンタリー「J.K. Rowling: A Year in the Life」(2007年12月30日放送)でローリングが描き、のちに旧公式サイトに掲載されたものです。

この家系図は、きょうだいを生まれた順に左から並べています。ウィーズリー七人きょうだいの段は、横棒から下りる線の位置がビル、チャーリー、パーシー、フレッド、ジョージ、ロン、ジニーの順です。ビルとフラーの段も同じ並べ方で、ビクトワール、ドミニック、ルイの順になります[15:3]

続柄は、ローリングがNBCの番組で終章について語った言葉から分かります。テディ・ルーピンがキスしている相手、すなわちビクトワールを、こう呼んでいます。この出典に公式の日本語訳はありません[14:2]

Dateline NBC「Harry Potter: The Final Chapter」(2007年7月29日)

... he's got a very good-looking girlfriend because the person that he's kissing in the epilogue is Bill and Fleur's eldest daughter.

(……彼にはとても器量のよい恋人がいます。終章で彼がキスしている相手は、ビルとフラーのいちばん上の娘なのですから)

いちばん上の娘という言い方は、下に娘がもう一人いることを含みます。三人のうち末子のルイは男性の名ですから、ドミニックが次女、ルイが長男にあたります。

外見

長いシルバーブロンドの髪が腰まで流れ、目は大きく深いブルー、歯は真っ白できれいに並んでいます[1:8]。代表選手に呼ばれて大広間を横切ったときは、レイブンクローとハッフルパフのテーブルの間を「滑るように」進みました[1:9]。「杖調べ」を待つあいだは、しょっちゅう頭をのけ反らせて長い髪に光を受けさせていました[2:6]

ロンは最初に声をかけられたとき真っ赤になり、喘ぐような音しか出せませんでした[1:10]。「杖調べ」ではカメラマンがフラーを正面に立たせたがり[2:7]、クリスマス・ダンスパーティのパートナーだったロジャー・デイビースは、フォークを頬に当てながらフラーを見つめ続けていました[18:2]

十七年後、リータ・スキーターの記事でも「非の打ちどころのない美人」と書かれています[13:2]

ヴィーラの血筋

フラーの杖の芯は祖母のヴィーラの髪の毛で、それを説明したのは本人です[2:8]。ハリーはこれを「おばあさんがヴィーラだった」とロンに伝えています[19:2]

祖父母四人のうち一人がヴィーラですから、フラーが引いているヴィーラの血は四分の一にあたります。

この祖母が父方か母方かは書かれていません。ただし母アポリーヌ・デラクールと妹ガブリエールがフラーと同じ銀色の髪と容姿を持ち、父ムッシュー・デラクールだけがそこから外れて描かれること、そして結婚式に「ヴィーラのいとこ」たちが列席することから、血筋は母方から伝わったものと読めます[11:4][3:6]。詳しくはアポリーヌ・デラクールの記事を参照してください。

ヴィーラの魅力は、本人が向けていない相手にも働きます。ロンが玄関ホールで衝動的に舞踏会へ誘ってしまったのも、フラーがセドリックに向けていた魅力にあたったためだと、ハリーは説明しました[19:3]

性格・人物像

フラーは自分の容姿と能力を隠しません。第一の課題を控えた時期でも、廊下ですれ違うフラーは「いつもと変わらず、フラーらしく高慢で平然と」していました[34]。ホグワーツの料理は重すぎると言い、飾りつけはボーバトンに及ばないと言い[18:3]、セレスティナ・ワーベックの歌は退屈だと言います[23:2]。茶さじの裏に映る自分の姿を確かめながら、トンクスの身なりを論評する場面もあります[35]

身内に向ける感情は激しいものです。第二の課題で妹を連れ帰れなかったときには、マダム・マクシームに取り押さえられてなお湖へ戻ろうとしました[8:7]。ビルが顔に傷を負ったときには、案じるモリーに対して怒りをあらわにし、傷痕は勇敢さの印だと言い切っています[24:3]

受けた恩は忘れません。妹を助けられて以降ハリーへの態度は一変し[20:1]、「貝殻の家」で負担をかけたことを詫びるハリーには、妹の命を救ってもらったのだから忘れないと答えました[9:4]

場が沈黙したときに口を開くのもフラーです。マッド‐アイの死を受けた「隠れ穴」で、計画が漏れていたことを最初に指摘したのも[28:3]、パーシーが戻ってきた「必要の部屋」の沈黙を破ったのも[32:3]、フラーでした。

魔法の能力

炎のゴブレットは、ボーバトンから名乗りを上げた生徒の中からフラーを代表選手に選び出しました[1:11]。杖は二十四センチのしなりにくい紫檀で、芯には祖母のヴィーラの髪の毛が一本入っています[2:9]。ポッターモアのオリバンダーの記事は、この芯を、客が持参した素材を杖職人に渡していた古い時代の慣習の例として挙げています[36]

ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「オリバンダー老人」

自分が愛着を感じるもの、親から受け継いだもの、フラー・デラクールの杖の芯のように、一族が誓いを立てたものなど、芯に用いる魔力を持った素材は、客のほうが杖職人に渡していたのです。

三大魔法学校対抗試合では、第一の課題でドラゴンを恍惚状態に陥らせる呪文をかけ[17:3]、第二の課題では泡頭呪文で湖に潜りました。ルード・バグマンは採点にあたって「すばらしい『泡頭呪文』」と評しています[8:8]

「貝殻の家」では、包丁に肉を切らせ、杖を向けて鍋を煮立たせ、キャセロール皿を宙に浮かべながら食事の支度をしています[9:5]。負傷したグリップフックには骨生え薬を飲ませ、脚を治しました[4:4]

ボーバトンの教育について、フラーはホグワーツのO・W・Lにあたる試験を六年間学んでから受けるのだと述べ、そのほうがよいと考えていました[6:4]

人間関係

ビル・ウィーズリー

出会いは第三の課題の直前、代表選手の家族が集まった小部屋です。母と話しながらビルをちらちら見るフラーに、ハリーが気づいています[12:5]。試合後にグリンゴッツで働きはじめたフラーはビルと交際するようになり[10:2]、1996年の夏には婚約していました[6:5]

ビルがグレイバックに襲われて顔に傷を負ったときも、フラーの態度は変わりませんでした[24:4]。1997年8月1日に結婚し[3:7]、ティンワース郊外の「貝殻の家」で暮らしています[30:1]。二人のあいだにはビクトワール・ドミニック・ルイの三人の子が生まれました[13:3][15:4]

ガブリエール・デラクール

第二の課題の時点で八歳ほどだった妹です[8:9]。この課題では、フラーにとってもっとも大切な人としてガブリエールが湖底に沈められました[8:10]。救出できなかったフラーの取り乱しようと、ハリーへ向けた感謝は、この関係の強さを示しています[8:11][9:6]。結婚式ではジニーとともに花嫁付添い人を務めました[35:1][11:5]

ハリー・ポッター

四人目の代表選手として現れたハリーを、フラーは当初「小さーい男の子」と呼び、参加資格を疑いました[16:1]。第二の課題で妹を連れ帰られたことで態度が一変し[20:2]、学年末には自分から握手を求めています[22:1]。以後は一貫して好意的で、「隠れ穴」ではハリーの世話を焼き[6:6]、「貝殻の家」ではここにいれば安全だと言って引き止めようとしました[9:7]

モリー・ウィーズリーとジニー・ウィーズリー

「隠れ穴」に滞在したフラーを、モリーとジニーはよく思っていませんでした。ジニーが付けた「ヌラー」というあだ名は、モリーに咎められながらも家族のあいだで使われ続けます[6:7][35:2]。モリーはビルにトンクスを引き合わせようと、繰り返し夕食へ招いていました[6:8]

この関係が変わるのが、ビルの負傷した病棟の場面です。フラーが結婚の意志を言い切ったあと、モリーはミュリエルのティアラを貸せるよう掛け合うと申し出て、二人は抱き合って泣きました[24:5]

登場・言及箇所

脚注


  1. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第16章「炎のゴブレット」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第18章「杖調べ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第8章「結婚式」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  4. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第24章「杖作り」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  5. ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「ボーバトン魔法アカデミー」 ↩︎ ↩︎

  6. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第5章「ヌラーがべっとり」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  7. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第12章「三大魔法学校対抗試合」 ↩︎ ↩︎

  8. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第26章「第二の課題」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  9. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第25章「貝殻の家」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  10. 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第4章「グリモールド・プレイス 十二番地」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  11. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第6章「パジャマ姿の屋根裏お化け」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  12. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第31章「第三の課題」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  13. ポッターモア 「クィディッチ・ワールドカップ決勝戦にダンブルドア軍団再集結」(2014年7月8日) ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  14. Harry Potter: The Final Chapter, Dateline (NBC), 2007年7月29日(Accio Quote! 書き起こし) ↩︎ ↩︎ ↩︎

  15. J.K. ローリング旧公式サイト 自筆のウィーズリー家の家系図(ITV「J.K. Rowling: A Year in the Life」2007年12月30日放送で描かれたもの) ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  16. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第17章「四人の代表選手」 ↩︎ ↩︎

  17. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第20章「第一の課題」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  18. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第23章「クリスマス・ダンスパーティ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  19. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第22章「予期せぬ課題」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  20. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第28章「クラウチ氏の狂気」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  21. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第35章「真実薬」 ↩︎

  22. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第37章「始まり」 ↩︎ ↩︎

  23. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第16章「冷え冷えとしたクリスマス」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  24. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第29章「不死鳥の嘆き」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  25. ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「リーマス・ルーピン」 ↩︎

  26. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第30章「白い墓」 ↩︎

  27. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第4章「七人のポッター」 ↩︎

  28. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第5章「倒れた戦士」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  29. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第7章「アルバス・ダンブルドアの遺言」 ↩︎

  30. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第20章「ゼノフィリウス・ラブグッド」 ↩︎ ↩︎

  31. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第26章「グリンゴッツ」 ↩︎

  32. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第30章「セブルス・スネイプ去る」 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  33. 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第33章「プリンスの物語」 ↩︎

  34. 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第19章「ハンガリー・ホーンテール」 ↩︎

  35. 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第7章「ナメクジ・クラブ」 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  36. ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「オリバンダー老人」 ↩︎

  37. 『ハリー・ポッターと呪いの子』第2幕 ↩︎

  38. 『ハリー・ポッターと呪いの子』第3幕 ↩︎

  39. 『ハリー・ポッターと呪いの子』第4幕 ↩︎