マージ・ダーズリー
マージ・ダーズリー (Marge Dursley) は、バーノン・ダーズリーの姉です。フルネームはマージョリー・アイリーン・ダーズリー(Marjorie Eileen Dursley)。田舎の大きな庭つきの家に住み、ブルドッグのブリーダーをしています[1][2]。
ハリー・ポッターとは血のつながりがありませんが、ハリーは幼いころから「おばさん」と呼ぶよう言いつけられて育ちました[1:1]。ハリーが13歳の誕生日を迎えた直後、マージはプリベット通り四番地に一週間滞在します。その最終日の夜にハリーの両親を侮辱したことで、怒りのあまり魔法を抑えられなくなったハリーによって風船のように膨らまされ、天井まで浮かび上がりました[1:2]。魔法省がこの事故を処理し、マージの記憶は修正されています[3]。
名前: マージ・ダーズリー(Marge Dursley)
別名: マージョリー・アイリーン・ダーズリー(Marjorie Eileen Dursley)
性別: 女性
種: 人間・マグル
職業: ブルドッグのブリーダー[1:3]
- バーノン・ダーズリー(弟)
- ペチュニア・ダーズリー(弟の妻)
- ダドリー・ダーズリー(甥)
来歴
田舎の家とブルドッグ
ハリーとの関係と暮らしぶりは、ハリーの視点から次のように紹介されています[1:4]。
マージおばさんはバーノンおじさんの妹だ。ハリーと血のつながりはなかったが(ハリーの母親はペチュニアの妹だった)、ずっと「おばさん」と呼ぶように言いつけられてきた。マージおばさんは田舎にある大きな庭つきの家に住み、ブルドッグのブリーダーをしていた。
原作の英語版は、マージがバーノンの姉なのか妹なのかを述べていません。日本語版はこれを「妹」と訳しています。一方、J.K. ローリングがポッターモアに書いたマージの紹介記事は、英語版が the older sister of Vernon Dursley と年齢の上下を明示しており、日本語版も「姉」としています。ここでは、より明確な後者に従っています。
飼っている犬は十二匹[1:5]。留守にするあいだの世話は、退役軍人である隣人のファブスター大佐が引き受けています。ただし年老いた愛犬リッパーだけは、どこへ行くにも連れて歩きます[1:6]。
「退役したんでね。何かやることがあるのは大佐にとって好都合さ。だがね、年寄りのリッパーを置いてくるのはかわいそうで。わたしがそばにいないと、この子はやせ衰えるんだ」
マージはそのファブスター大佐に密かに恋をしています。しかし大佐のほうは彼女のひどい性格を知っているため、結婚する気はまったくありません。この報われない想いが、他人に向けられる意地の悪さに拍車をかけています[2:1]。
ダーズリー家との行き来
マージがプリベット通りに滞在する回数はそれほど多くありませんでしたが、贈り物や便りは届いていました。ダドリーの誕生日には、山と積まれたプレゼントのなかにマージからの包みが混じっています[4]。同じ日、ハリーの預け先が見つからず困ったバーノンがマージに電話してはどうかと言い出すと、ペチュニアは「バカなこと言わないで。マージはこの子を嫌ってるのよ」と言って退けました[4:1]。
しばらくして、ワイト島で休暇を過ごしていたマージから絵葉書が届きます。そのあと、腐りかけた貝を食べて病気になったという便りも寄せられました[5]。
プリベット通りでの一週間
ハリーが13歳の誕生日を迎えた直後、マージは一週間の予定でプリベット通り四番地にやってきました[1:7]。
マージはハリーが魔法使いであることを知りません。ハリーの両親については、働きもせずに暮らし、車の事故で死んだ夫婦だと思い込んでいます。真実を知られることを恐れたバーノンとペチュニアは、ハリーが「セント・ブルータス更生不能非行少年院」に収容されていることにしていました[1:8]。
「マージには、おまえが『セント・ブルータス更生不能非行少年院』に収容されていると言ってある」
滞在中、マージはハリーを片時も目の届かないところに置かず、しつけの不足をあげつらい続けました[1:9]。
ハリーとダドリーを比較するのもお楽しみの一つで、ダドリーに高価なプレゼントを買い与えては、どうして僕にはプレゼントがないの? とハリーが言うのを待っているかのように、じろりと睨むのが至上の喜びだった。さらに、ハリーがこんなろくでなしになったのはこれこれのせいだと、陰湿な嫌味を投げつけるのだった。
最終日の夜、ペチュニアの用意した食事のあとでマージはワインとブランデーを重ね、ついにハリーの両親そのものへ話を向けます[1:10]。
「言うじゃないか。続けてごらんよ。親が自慢てわけかい、え? 勝手に車をぶっつけて死んじまったんだ。――どうせ酔っ払い運転だったろうさ――」
ハリーが言い返すと、マージは怒りにまかせて言葉を継ぎ、そのまま膨らみはじめました[1:11]。
マージおばさんが突然黙った。一瞬、言葉に詰まったように見えた。言葉も出ないほどの怒りで膨れ上がっているように見えた。――しかし、膨れが止まらない。巨大な赤ら顔が膨張しはじめ、小さな目は飛び出し、口は左右にギュウと引っ張られてしゃべるどころではない。次の瞬間、ツイードの上着のボタンが弾け飛び、ビシッと壁を打って落ちた。――マージおばさんは恐ろしくでかい風船のように膨れ上がっていた。ツイードの上着のベルトを乗り越えて腹が突き出し、指も膨れてサラミ・ソーセージのよう……。
マージは椅子を離れて天井へ浮かび上がり、ハリーは荷物をまとめて家を飛び出しました[1:12]。
事件のあと
ハリーはその夜、夜の騎士バスで漏れ鍋にたどり着き、魔法大臣コーネリウス・ファッジと顔を合わせます。ファッジはすでに処理が済んだことを告げました[3:1]。
「食べなさい、ハリー。座ったまま死んでるような顔だよ。さーてと……安心したまえ。ミス・マージョリー・ダーズリーの不幸な風船事件は、我々の手で処理ずみだ。数時間前、『魔法事故リセット部隊』の二名をプリベット通りに派遣した。ミス・ダーズリーはパンクして元どおり。記憶は修正された。事故のことはまったく覚えていない。それで一件落着。実害なしだ」
事件は魔法界にも伝わっていました。夏休みのうちに再会したロン・ウィーズリーは、魔法省に勤める父親を通じてこの件を知っており、本当におばを膨らませたのかとハリーに尋ねています[6]。その学年の終わりには、ハリー自身が「マージおばさんのことがあったあと」ならダーズリー一家は喜んで自分を追い出すだろうとロンに話しています[7]。
のちにハリーを家から追い出そうとしたバーノンは、それまでに起きた災難を並べ立てるなかで「マージは膨らんで天井をポンポンするわ」と口にしました[8]。また、閉心術の訓練でハリーの記憶をのぞいたセブルス・スネイプに犬のことを尋ねられたハリーは、「マージおばさんです」とだけ答えています[9]。
この一件以降、ダーズリー一家はハリーが家にいるあいだマージを招かなくなり、ハリーが彼女に会うことは二度とありませんでした[2:2]。
外見
プリベット通り四番地の戸口に立ったときの姿は、次のとおりです[1:13]。
バーノンおじさんとそっくりで、巨大ながっちりした体に赤ら顔、それにおじさんほどたっぷりしてはいないが、口髭まである。片手にとてつもなく大きなスーツケースを下げ、もう片方の腕に根性悪の老いたブルドッグを抱えている。
滞在中には、紅茶をガブリと飲んだあとに口髭を拭っています[1:14]。
性格・人物像
マージは意地の悪い女性です。ブルドッグのブリーダーという仕事を人生で何よりの楽しみとし、体罰と率直な物言いを肯定する主義で、嫌味を言うのを得意としています[2:3]。ハリーが「セント・ブルータス」で鞭を使われていると答えたときの反応は、その主義をそのまま表しています[1:15]。
「そうこなくちゃ」マージおばさんが言った。「ひっぱたかれて当然の子を叩かないなんて、腰抜け、腑抜け、間抜けもいいとこだ。十中八九は鞭で打ちのめしゃぁいい。おまえはしょっちゅう打たれるのかい?」
ただひとりの甥であるダドリーは溺愛する一方、ハリーには終始冷たくあたります[2:4]。ハリーを「でき損ない」と評するとき、マージが持ち出すのはブリーダーとしての血統論でした[1:16]。
J.K. ローリングのコメント
ポッターモアの記事に添えられた「J.K. ローリングの言葉」で、ローリングはマージにブルドッグを飼わせたことを悔やんでいます[2:5]。
マージおばさんをブルドッグのブリーダーにしたことについては、後悔しています。ブルドッグは攻撃的な犬ではないことがわかったからです。妹がブルドッグを 1 匹飼っていますが、このうえなく愛くるしくて、優しい犬です。とはいえ、見た目は気むずかしそうなので、外見だけでいえばマージおばさんにぴったりだと思えたのです。
登場・言及箇所
- 『ハリー・ポッターと賢者の石』
- 第2章「消えたガラス」
- 第3章「知らない人からの手紙」
- 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
- 第2章「マージおばさんの大失敗」
- 第3章「夜の騎士バス」
- 第4章「漏れ鍋」
- 第22章「再びふくろう便」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
- 第2章「ふくろうのつぶて」
- 第24章「閉心術」
- ポッターモア J.K.ローリングからの新着コンテンツ「マージ・ダーズリー」